手軽にできる!身のまわりの植物で草木染め体験
Life Hack
2023.12.27
秋も終わりに近づいた頃、重い腰を上げて実家の草取りをしていました。大量に生えているのはセイタカアワダチソウ。名前の通り、お尻がすっぽり隠れる高さまで茂った草丈の先に、丸く小さな黄色い花をたくさんつけています。これはこれでかわいいかも、と花穂を摘んでいると、近所の方に声をかけられました。「染め物でもするの?」
セイタカアワダチソウは、河原や草やぶなどに生えており、都内でもよく見かける草です。雑草と呼ばれる植物で染め物ができると知り、試してみたくなりました。
シンプルな材料で草木染めに挑戦
草木染めに必要な材料は、手軽に用意できるものばかりです。
・染めに使用する植物(例えば、玉ねぎの皮、よもぎ、ビワの葉などが使えます)
・染めたい布、ハンカチやソックスなどの小物
・豆乳
・鍋
・ボウル
・長めの菜箸
・焼ミョウバン
・ゴム手袋
・ザル、またはさらし布やキッチンペーパー
草木染めでは、色を定着させたり、発色させたりするための媒染液(ばいせんえき)を用意する必要があります。媒染剤はミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)、鉄、銅などの金属が一般的です。私はキッチンで染め物をするため、焼ミョウバンを選びました。食料品店の漬物コーナーで手に入ります。
染めに使用する植物は、乾燥させたセイタカアワダチソウのほかに、庭の隅に大量に生えていたミントも使うことにしました。
家にあった染めに使える布は3種類。コットンニットとネル生地、ガーゼ生地です。草木染めは化学繊維以外の布物ならすべて染まります。シルクやウールなどの動物性の繊維は染まりやすいのですが、コットンや麻など植物性の繊維は色があまり浸透しません。染料となる物質が布に定着しにくいためです。手元の布はすべて綿素材なので、豆乳を使ってタンパク質処理を施します。
「処理」といっても、ただボウルに同量の水と豆乳を合わせた豆乳液を作り、に布を漬け込むだけ。たっぷりとタンパク質を染み込ませて、手で絞り、天気の良い日に干して乾燥させておきました。
シンプルなのに奥深い、染めの工程
いよいよ染めに入ります。染めの手順は以下の通りです。
1、染め物に使用する植物を細かく切る
2、お湯に植物と水を入れて30分から40分ほど煮出す
3、煮出した染液を漉す
4、染液に布を漬けて20分ほど煮る
5、水100リットルに5グラムの焼ミョウバンを溶かした媒染液に20分ほど浸ける
6、水洗いする
7、風通しの良い日陰で干したら完成!
シンプルな工程ですが、真っ白な布が植物の色に染まっていくのを見ていると、なんだか満ち足りた気持ちになります。また、植物を煮出す工程では、キッチンが良い香りでいっぱいになり、まるで香りのセラピーを受けているかのようです。
セイタカアワダチソウは、まるで薬草を煮出したような、クセになる香り。実はさまざまな効能があり、お茶にして飲む方もいるようです。せっかくなので、鍋から立ち上る湯気を顔に浴びて、1人フェイススチームを楽しみました。
おもしろいと感じたのは、植物の色がそのまま染色されるとは限らないところです。セイタカアワダチソウの染液は濃い黄色でしたが、染まった布は淡い黄緑色になりました。ミントはかなり薄い緑色の染液だったため、色が布にうまく染み込みませんでした。葉の量が少し足りなかったのかもしれません。または、煮出す時間が短すぎたのかも。コツをつかむには、まだまだ時間がかかりそうです。
草木染めの注意点
作業をする上で気をつけたい点がいくつかありました。
豆乳や染液、媒染液など、液体に布をつけるときは布に液がまんべんなく染み込むようにします。液体が少ないと、染めにムラができるためです。布が空気に触れないよう、液体が足りないときは水を追加します。
作業をするときは、素手ではなくゴム手袋をつけることをおすすめします。特にミョウバンに布をつけ込む際は、液体を素手で触ると手が荒れることがあります。
焼ミョウバンはお湯の温度が低いとなかなか溶けず、白く濁ったり、焼ミョウバンのかたまりが残ったりしてしまいます。沸騰したお湯に焼ミョウバンを溶かした無色透明の液体を使います。
身近な植物との新しい楽しみ方
写真は脱水後に陰干しした、染色後の布です。ミントは、写真では分からないほど、ほんのりと薄い緑に染まっています。
調べてみると、私たちの身の回りには、草木染めに使える材料がたくさんあるようです。コーヒーや紅茶、玉ねぎの皮、ヨモギや赤シソ、春菊まで!
普段は合成染料で染色したものを身につけている私たち。何を使って染められているかなんて、考えもしませんでした。草木染めは合成染料のように発色がよく染まらない、さまざまな要因によって染め具合に差があるなどの特徴がありますが、それも自然素材ゆえの良さと言えます。ハンカチやソックス、Tシャツなど、肌に触れるものを季節の天然素材で染めてみる、そんな楽しみ方がひとつ増えました。
本コラムは、株式会社西武リアルティソリューションズからの依頼にもとづき、以下、投稿者のコメントを編集して掲載しております。
投稿者プロフィール
高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。
ライター業をしながら米や野菜づくりに挑戦しています。
趣味は登山と外で遊ぶこと。
発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活を実践中です。
http://turumayu.studio.site
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