「かな書道」を始めて3年目
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2022.05.15
「かな書道」を始めて3年目
みなさん、お変わりなくお過ごしでしょうか。
暦は5月、前回書かせていただいた我が家のビオラは、日に日に強くなる陽射しと、そのわりに寒暖差のある気候に少々お疲れ気味の様子。
しかし、どんどん丈は伸び、太陽の方に葉や花を向けるのですよ。
植物の生きようとする力ってすごいなと、水やりのたびに感心しています。
さて、今日は私の習い事について書かせていただきます。
それは、書道。
小学校や中学校の授業でやったような「墨をすって、手本を見ながら半紙に筆で書く」、あの感じで練習しています。
少し珍しいのは「かな書道」だというところでしょうか。
「かな書道」を正確にひと言で説明するのは難しいのですが、小筆を使って書かれた、漢字とひらがなが混ざった筆文字…
たとえば平安時代の絵巻や、かるたの「百人一首」の札にあるような、パッと見だけでは全然読めない文字、あれです。
割り箸の袋にある「おてもと」なんていう文字の方がイメージしやすいかもしれないですね。
その「かな書道」を始めたきっかけは、2019年の秋、銀座で見かけたポスターでした。
書家の個展を告知するそのポスターには、1枚の「かな書道」の作品画像と一緒に「書業六十五年記念」が記されていました(当然、書家の名前も記されていたのですが当時の私は文字通り”門外漢”で、お名前は目に入っておらず)。
実は私が通った高校では、書道の授業が「かな」だったので、久しぶりに見る「かな書道」が、ぱッと目に留まったのです。
なんとなく足を止め、ああ懐かしいな、と眺めたのですが、「書業六十五年」って… 何歳から始めていま何歳なの?
と考え、「書業」というくらいだからスタートと言えるのは若くても15歳くらい、だとすると今は80歳??
と仮の計算をし、年齢は私の想像からいくらか前後するだろうとしても、その六十五年という歳月に敬意を評したくなって、その足で個展を観に行きました。
そして、きっと読んでいる方のご想像どおり、だと思うのですが、私はそこで観た「かな書道」の世界にすっかり魅せられてしまったのでした。
作品はどれもリズム感あふれる美しいもので、さらに表装の色づかいも私の好みにぴったり。
「かな書道」の題材によく使われる百人一首や万葉集が好きなので、作品を見たときに、なにこれ全然わかんない、とならなかったのも幸いでした(書の作品展示では多くの場合、作品の横には、何が書かれているかわかるように説明書きがちゃんとあります)。
“縁は異なもの味なもの”
私もこれやりたい!とこどものように思った私は、その勢いに任せて、近くにいた関係者らしき方に「こういうのはどういったところで習えるんでしょうか」といきなり尋ねました。
「かな書道」という言葉を知らないので「こういうの」と作品を指差したと記憶しています。
すると、なんと私が声をかけた相手は、その書家の先生のお嬢さんで「じゃあぜひ」と、ちょうど会場にいらした先生をご紹介くださったのでした。
そして先生は、そのまま会場で私にいくつかの作品をご説明くださって、近くの教室の先生のところに通えるよう手筈を整えてくださいました。
縁は異なもの、と言いますが、まさにこのときはそんな感じ。
思ってもみなかった出会いで、あれよあれよという間にご縁が繋がり、書道を始めることになってしまいました。
それから月に何日か教室に通うようになり、コロナ禍では通信教育にしていただき、約2年半が経ちました。
門下生となった今、あのときの一部始終を思い出すと本当に恥ずかしく、赤面の至りというか穴があったら入りたいですが、あの勢いの甲斐はあって(?)始めてからずっと、書くことが楽しいです。
先生や諸先輩方の字を見ては、いいなぁあんな線で書きたいなぁと思うばかりで自分が思うような字が書けることは全然ないのですが、それでも楽しい。
あの日、気になった場所に足を運んで、気になったことを聞いてみて、本当に良かったと思います。
(※画像は文鎮に使っているカバ。ずいぶん前に雑貨屋さんで買ったオブジェですが、使い勝手がよいのと、この表情に癒されます。ちなみに、1枚目の画像の紙の端が折れているのは、提出用の目印です。)
無心で書くことの癒しと、またもや「欲」
楽しい、と書きましたが、にやにやしながら字を書いているわけではなくですね(当たり前か)、その日に自分が納得するところまで練習するととても満足する、という感じです。
もちろん、「会心!」と思える線が出せると、その日ずっとにやにやしてるようなことはありますが、滅多にないです。
まだ一度か二度ですね。苦笑
でも自分の生活に書道があることを言葉で表そうと思うと、楽しい、のです。
書き始めると時間が経つのを忘れるくらい集中できる、お手本や自分のイメージどおりの線を出したい!と書いていると無心になれる、それが私にはよいのだろうと思っています。
私は休み下手なのか、情報の整理下手なのか、仕事、家のこと、こどものこと、といつも何か考えて動こうとしてしまって「なにもしない」というのが苦手です。
家でひとりでいると、ゆっくりしようとお茶を淹れても、お茶請けを出しに動いたついでに洗濯物を見に行って、そこで花の世話を少しして、戻って猫の相手をして、などとしているうちにお茶が冷めたりするのですよね。
ですから、ただひたすら墨をするだけに10分過ぎ、書き始めてふと顔を上げるとまた30分過ぎている、という稽古を終えると、とても気持ちが落ち着いていて、それが心地よいのです。
そしてつい先ごろ、西洋の書道「カリグラフィー」のレッスンも体験してきました。
こちらもいろいろ種類があるようですが、私が習ったのは「モダンカリグラフィー」で、よく見るブランドの万年筆を使った、敷居の低いもの。
これはまた筆とは違った書き味で、初歩としてアルファベットを書いてみるだけでも、なんとも気持ちがよくて!
私の名前を書いてみてくださった先生の描くラインが美しく、あんなふうにサインができるようになりたい、と憧れてしまいました。
まだ筆も自在に扱えないのに、なんとも欲張りな話ですが、筆のかな文字と万年筆でのアルファベットは、使うシーンが違いますから!
やっておいたら、きっと先々楽しいはず… アラフィフですから始めるなら早いほうがいいはず… と思い切って練習を始めようかと考えています。
どちらも、いつか「作品」と言えるようなレベルのものを作って、自宅に飾れたら嬉しいですね。
「欲」を「夢」に変えて、日々お稽古したいと思います。笑
(終)
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投稿者プロフィール
宮本良子(Ryoko Miyamoto)
TVCM、PR番組プロデューサー。4人家族+保護猫姉妹2匹のマンション暮らしです。好きなものは、児童書、紅茶、スコーン、クラシックカー。英国でティーハウス巡りをするのが当面の夢です。
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